社内でコピーして配布は違法?著作権のOK・NGを事例で解説

授業や社内の会議で、資料をコピーして配布する場面は日常的にあります。
しかし、その行為が著作権侵害になるケースがあることをご存じでしょうか。
実際、社内での資料配布をめぐってトラブルになる例も少なくありません。
一見問題なさそうに見える行為でも、事情によっては著作権侵害となる可能性があります。
ここでは、具体的な事例を交えながら、現場で判断するための基本的な考え方を整理します。

目次

社内でコピーして配布は著作権違反になるのか

結論から言うと、「コピーして配る」という行為自体が直ちに違法となるわけではありません。
ただし、対象となる資料の性質や、利用目的、配布の方法によって、適法にも違法にもなりえます。
以下では、実務でありがちな3つのケースを見ていきます。

【事例①】判例をダウンロードして会議で配布 → OK

新たなプロジェクトの法的な問題点を検討するために、自宅で裁判所の判例検索サイトから判例をダウンロードし、翌日の会社の会議で参考資料としてコピーを配布した。
→ 改ざん等をしなければ、問題ありません。
裁判所の判決文は、著作権法上「権利の目的となることができない著作物」とされています(第13条)。憲法や法令、通達と同様に、誰でも自由に複製・配布できます。
ただし、民間の判例検索サイトからダウンロードした判決文は、著作権の保護対象となるケースがありますので、注意が必要です。

【事例②】図書館でコピーした書籍を会議で配布 → NG

休みの日に図書館で仕事に関係する書籍のコピーを取り、翌日、そのコピーを課の人数分だけさらに複写して、打ち合わせの席で参考資料として配布した。

→ これは認められません。

図書館でのコピー自体は、調査研究の目的で、著作物の一部分を一人につき一部複製する範囲で認められています(第31条)。
しかし、そのコピーをさらに複数部複写して社内で配布する行為は、この範囲を超えています。
また、個人や家庭内での使用を認める「私的使用のための複製」(第30条)も、そもそも職場での業務利用には適用されません。
つまり、最初のコピーが適法であっても、その後の社内配布の段階で違法となります。

※「図書館でコピーしたものだから問題ない」と考える方は多いですが、
社内で複数人に配布する時点で別の行為として評価されるため注意が必要です。

【事例③】社内研修の教材に書籍から2行引用 → 条件付きOK

社内の研修用教材を作成する際に、手元の書籍の関係箇所から2行程度を引用した。

→ 引用として正当な範囲であれば、問題ありません。

公正な慣行に合致し、目的上正当な範囲内であれば、公表された著作物を引用して利用することが認められています(第32条)。
引用が認められるためには、一般的には、次のような要件をみたすことが必要と考えられています。

  • 自分の文章が「主」、引用部分が「従」であること
  • 引用箇所が明確に区別されていること
  • 出典が明示されていること

重要なのは、「短ければOK」ということではなく、これらの要件を満たしているかどうかです。
2行程度の引用であっても、たとえば教材全体の趣旨と無関係に載せただけでは、引用とは認められない可能性があります。逆に、要件を満たしていれば、社内研修の教材であっても適法に利用できます。

なぜ判断が分かれるのか

同じように「コピーして配る」行為でも、結論が分かれるのはなぜでしょうか。
判断のポイントは、次の3つです。

① そもそも著作権の対象か

判例や法令などはそもそも著作権の対象外であり、自由に利用できます(第13条)。
まず「その資料が著作物にあたるのかどうか」を確認することが出発点です。

② 引用の要件を満たすか

著作物であっても、主従関係・明確な区別・出典の明示といった要件を満たせば、「引用」として利用することが認められています(第32条)。
社内資料であっても、この要件を満たしていれば適法です。

③ その他の例外に該当するか

著作権法には、図書館での複製(第31条)や教育機関における授業目的での利用(第35条)など、いくつかの例外規定があります。
ただし、社内での利用は、これらの例外にはほぼ該当しません。 「私的使用のための複製」(第30条)も、職場での業務利用には適用されません。「社内だから大丈夫」という思い込みは、誤りとなるケースが多いことを覚えておきましょう。

👉 実務では、まず①著作物かどうかを確認し、著作物であれば②引用として使えるかを検討する、という流れで考えると判断しやすくなります。いずれにも該当しない場合は、権利者の許諾を取ることが原則です。

【補足動画(5分解説)】
※本記事の内容は動画でも解説しています(下記)

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